ブロ研 [ブロンコス研究所]

NFL DENVER BRONCOS について独自研究を行うブログ

1巡 QB パクストン・リンチ

今年もぼちぼちドラフト指名選手の紹介をしてみたいと思います。

 

 

ブロンコスは1巡31位から26位にトレードアップしました。

ちなみにシーホークスは31位でOT Germain Ifedi を指名しています。

 

 

1巡26位(全体26位) 

QB パクストン・リンチ

 

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名前 Paxton James Lynch
身長 6-7 (2.01m)
体重 244 (111kg)
大学 Memphis
年齢 22歳 (1994年2月12日)
学年 ジュニア
腕の長さ 34 1/4インチ (86.9cm)
手の大きさ 10 1/4インチ (26cm)
40ヤード 4.86秒
10ヤード 1.69秒*
20ヤード 2.81秒*
20ヤードSS 4.26秒*
3-Cone Drill 7.14秒
垂直跳び 36インチ (91cm)
立ち幅跳び 118インチ (2.99m)
ベンチプレス  

*Pro Day Workout

 

大学の成績

Year GP Cmp Att Pct Yds TD INT Rate
2013 12 203 349 58.2% 2056 9 10 110.4
2014 13 259 413 62.7% 3031 22 9 137.6
2015 13 296 443 66.8% 3778 28 4 157.5

 

評価

  • NFL.com: 6.17(良い先発になれる可能性あり)
  • CBS Sports: QB 3番目(1-2巡指名予想)
  • B/R: 6.90(2巡指名、将来の先発)

 

 

概要

フロリダ州の高校では走れるQBだったが、最終年の春に膝を怪我してシーズン前半を欠場した。そのため大学のリクルートから漏れてしまい、メンフィス大学(テネシー州)に進学することとなった。

2012年はレッドシャツに登録され出場しなかった。

2013年から先発に昇格。メンフィス大学でフレッシュマンが開幕戦から先発するのは1986年以来だった。全12試合に先発して2000ヤードを投げたものの、成功率58%、9TD、10INT、チーム成績も3勝9敗と安定しないシーズンになった。

2014年は全13試合に先発して10勝3敗だった。チームを1938年以来となる10勝シーズンに導き、1971年以来となるカンファレンス・タイトルを獲得した。

12月のマイアミ・ビーチ・ボウルでは、ダブル・オーバータイムの末、ブリンガム・ヤング大学に55対48で勝利した。パス46回のうち24回成功、306ヤード、4TD、3INT、ランで3TD、合計7TDを決める活躍だった。

2014年はランで113回、321ヤード、13TDを記録している。

2015年は全13試合に先発して9勝4敗だった。開幕から8連勝したが、終盤でネイビー、ヒューストン、テンプルに連敗した。

10月17日にはSECのミシシッピー大学と対戦し、53回投げて39回成功、384ヤード、3TDを決めて、37対24で勝利。このアップセット勝利で注目を集めた。

しかし、同じくSECのオーバーン大学と対戦したバーミンガム・ボウルでは、37回投げて16回成功、106ヤード、1INTと苦戦し、10対31で敗北した。攻撃のキモであるスクリーン・パスを封殺されると、リンチは混乱しているように見え、NFLでプロ・スタイルの攻撃をやれるのかという懸念が浮き彫りになった。

2015年12月31日、ドラフトにアーリーエントリーすることを表明した。

2014年はAll-ACCの2ndチームに選出。2015年はManning Awards のファイナリストに名を連ね、All-ACCの1stチームと、チームのMVPに選出されている。

 

 

長所

身長6-7とサイズがある。高い視点からフィールドを見渡せる。

アスレチック。長身のQBとしては機敏な足がある。やばい時にはポケットから脱出して時間を稼いでパスを決める。必要な時にはランでも脅威になれる。

強肩。狭いところに決める肩の強さ、不安定な体勢や、走りながらパスを投げる肩の強さがある。

動きながらパスを投げることができ、ブーツやモーションで動くのも得意。

クイックリリース。長身のQBは腕が長くてモーションが大きくなりがちだが、腕の動きがコンパクトで素早い。

コーチから順応力、フットボールIQが称えられている。リーダーシップもある。

ポケットでラッシュを察知する能力は上達している。477回のドロップバックで15回しかサックされていない。

昨年はターンオーバー数を16個から4個に減らした。

中距離のパスは1120回投げて成功率54.6%、21ヤード以上のディープは19TDを含めて成功率44.9%、INTはわずか2個だった。

ブリッツに対して強く、昨年は5人以上がパスラッシュしている時のスタッツが、パス成功率67.9%、11TD、1INT、被サック2個だった。

 

 

短所

細い体格をしている。もっとウエイトを増やす必要がある。

キャッチ&ランのパスでボール・プレースメントを向上する必要がある。動きながら投げるパスの正確さにも課題がある。

アンティシペーション(レシーバーがオープンになるのを予期して投げる能力)を向上する必要がある。素早くターゲットを見つけるクイックネスも足りない。視線で守備を動かし、投げるレーンを空ける術を学ばないといけない。

肩の強さは一貫性を欠いている。短いパスが地面に落ちる。ボールがぐらぐらして獲りにくいことがある。

パスのタッチとタイミングは上達が必要で、ボールのスピード感覚も発展中。

フットワークは未熟。大学ではドロップバックを経験してこなかった。

投球フォームはメンテナンスが必要。自己流で、矯正を受けてこなかった。投げる時のバランスが不安定で、それがパスの正確さに影響している。

体内時間はまだ向上中で、食らってはいけない時にサックされる。優れた決断力はあるが、パスを投げる投げないの判断はまだ学習中。

メンフィス大学では、プレイコールはすべてサイドラインから指示されていた。

プロで先発するにはまだ時間がかかる。

 

 

総評

ランとパスの両方で脅威になれる、サイズと身体能力を備えている。しかし、同種のQBたちとは違い、すぐに走るのではなく、足を使って時間を稼ぎパスを投げることを好む。その上で、ランでヤードを稼ぐこともできる。守備を読み、賢い判断ができる能力を見せてはいるが、まだプロのレベルではない。すぐに先発できる身体能力はあるものの、控えで1年間勉強することが許されれば、将来的には最大の利益を得られるかもしれない。1巡指名予想。

大学3年間で連続39試合に先発している。2015年シーズンを前に、多くのスカウトから興味を持たれてはいたが、格下相手に活躍しているとして、まだ完全には認められていなかった。しかし、ミシシッピー大学戦のアップセット勝利で評価を上げた。元はRBで、高校ではWing-Tの攻撃を指揮しており、QBとしてはまだ未熟で経験も浅いが、この3年間で大きく進歩してきた。時間は必要かもしれないが、NFLで成長して成功できるだけの資質は備えている。

 

似たタイプの選手

  • マーカス・マリオタ(TEN)
  • ブロック・オスワイラー(HOU)
  • ブレイク・ボートルズ(JAX)

 

 

リンチ指名の舞台裏

1巡4位のカウボーイズはRBエリオットが本命で、さらに1巡下位でQBリンチも狙っていたと明かしていますね。4位から6位にトレードダウンして、3巡指名権をもらい、2巡と3巡を使って1巡下位に再浮上する計画だったそうです。

しかし、6位のレイブンズは興味を示したものの「3巡ではなく4巡でどうだ?」という返答でトレードは成立せず。その結果、カウボーイズはそのまま4位でRBエリオットを指名し、それから1巡下位のチームとトレードアップの交渉を開始。26位のシーホークスから反応があって、最初は「2巡と4巡を出す」という話だったのが、後にシーホークスは条件を上げて「2巡と3巡」を要求。カウボーイズのジェリー・ジョーンズは、かなり迷った末にリンチ指名を諦めたという話です(これを後悔して朝まで眠れなかったと語っていますね)

ブロンコスシーホークスに渡したのは「1巡と3巡(724ポイント)」なので、カウボーイズの「2巡と4巡(656ポイント)」よりも条件で上回っています。しかし、カウボーイズがレイブンズから3巡指名権をもらっていて、「2巡と3巡(800ポイント以上)」を提示していたら、ブロンコスは条件で負けていたかもしれません。

別の話だと、1巡20位のジェッツも、リンチを指名する可能性があると予想されていましたが、実際にはリンチを3巡指名くらいに評価していて、1巡指名は考えていなかったとか。2巡1位のブラウンズも、リンチ狙いのトレードアップに動いていたという話が出ていましたが、チーム関係者は否定しているようです。

 

 

感想 

リンチ指名がどういう結果になるかはまだ先の話ですけれど、QBが必要だったチーム事情と、残されていた選択肢を考え合わせると、トレードアップして狙っていたQBを指名できたのは、うまいドラフトだったと思います。 個人的にもこういう大物感のある荒削りなQBは夢があって好みですねー

今年のドラフトでは3番目のQBという評価が多かったですが、トップ2人が早々に売り切れる展開になったせいか、一時はリンチの株も高騰して、10~20位あたりの指名予想も目にしました。今年のQBの中で、リンチを1番に評価しているスカウトが少なくとも3人いるといった話もありました(真偽は不明ですけども)

指名評価はなかなか好評な感じで、マイナスも、まだ未熟で時間がかかるという点が多いように思います。しかし、ブロンコスのシステムに合う、クービアックなら育成できるという意見も多いですね。

リンチは大学でスプレッド・オフェンスをやっていましたが、一般的にスプレッドのQBは、決められたレシーバーに素早くパスを投げて、守備を読む能力を要求されないので、プロでは苦戦するとも言われていますね。ただ、メンフィス大学の攻撃では、リンチはポケットから脱出して、フィールド全体を見渡してターゲットを探し、ダウンフィールドにパスを投げることも多かった(そして成功率も高かった)という指摘もされていました。

インタビュー動画とかを見ますと、笑顔で明るいキャラっていう印象を受けますね。グルーデンのQBキャンプでは「自分自身を(投げて走れる)キャム・ニュートンと重ねている」とも話していました。

予想より早く先発するかもしれないという発言も出ていますけど、普通に考えればサンチェスが開幕戦に先発するのかなと思います(エルウェイが引退した翌年、ベテランのバビー・ブリスターではなく、2年目のブライアン・グリーシーを先発QBに起用して、開幕4連敗したことを思い出します)

ファンとしては早く試合で見たい気持ちもありますが、焦らずしっかりと育成してほしいですね。

 

 

ドラフト評価

  • B+ NFL.com
  • B+ CBS Sports
  • B+ SI.com
  • B   PFF
  • B   Walter Football
  • B   Yahoo Sports
  • C   USA Today
  • C   Blecher Report

 

動画

ハイライト

Paxton Lynch || "The Future of Denver" || Memphis Highlights - YouTube 

2014年のマイアミ・ビーチ・ボウル

Paxton Lynch Memphis vs BYU 2014 - YouTube

2015年のミシシッピー大学戦

Paxton Lynch vs Ole Miss 2015 - YouTube

2015年のバーミンガム・ボウル

Paxton Lynch Vs Auburn (2015) - YouTube

 

 

引用元