MHRにビル・マスグレイブについての記事があったので、一部を抜粋して簡単に要約してみました。
新OCビル・マスグレイブは、ブロンコスの攻撃に何をもたらすのか
What new Offensive Coordinator Bill Musgrave can bring to Denver’s offense - Mile High Report
月曜日、OCマイク・マッコイは解雇され、QBコーチのビル・マスグレイブが新しい攻撃コーディネーターに昇格した。
マスグレイブは去年までの2年間、レイダースの攻撃コーディネーターだった。そして、そこでQBデレク・カーを成長させた。
2015年にビル・マスグレイブがレイダースの攻撃コーディネーターに就任すると、QBデレク・カーの個人成績は上昇した。
2014年は、パス成功率58%、パス1回平均5.5ヤード、QBレイティング76.6だったのが、2015年はパス成功率63%、パス1回平均7ヤード、QBレイティング96.7を記録し、インターセプトの数も半減している。
では、マスグレイブはブロンコスの攻撃に何をもたらしてくれるのだろうか。
それを知るには、彼がレイダースで何をしていたかに注目してみるべきだろう。
マスグレイブがレイダースにもたらした5つの要素
現代的なスプレッド攻撃のコンセプト
スプレッドにパワーランを混ぜる
6人目のOLを使うトレンド
QBデレク・カーにスクリメージ・ラインでの自由裁量を与えて成長させた
賢いプレイ・デザイン
スプレッド・オフェンスとは(Wikipediaより)
一般的にQBはショットガンの位置に入り、レシーバーを3人から4人、時には5人セットすることで、相手守備を水平にスプレッド(拡散)させる攻撃。
多くのスプレッド攻撃は、リード・オプションのラン・プレイを使って、守備の両サイドにプレッシャーをかける。
縦へのパス・ルートを使うことで、相手守備を縦に拡散させ、パス攻撃とラン攻撃どちらにおいても隙間を生じさせる。
近年のNFLでは、ペイトリオッツ、イーグルス(チップ・ケリー)、テキサンズなどがそのコンセプトを導入してきた。
現代的なスプレッド攻撃のコンセプト
マスグレイブは、イーグルス時代(2014年)にHCチップ・ケリーの下でQBコーチをしており、そこで得たコンセプトをレイダース(2015-16年)に持ち込んだ。
スプレッド攻撃は、すでにプロでもリーグの一部になっており、ラムズ、イーグルス、カウボーイズといった2年目の若いQBが活躍しているチームは、大学のオフェンスを取り入れて成功している。
チーフスは完全にスプレッド攻撃のシステムを駆使しており、リーグ全体でもオフェンスの12.5%がそのシステムを利用している。
マスグレイブがレイダース時代にやっていた攻撃
もし、あなたがレイダース(当時)と対戦する守備コーディネーターだとしたら、たとえば以下の攻撃に対するプランを考えなくてはならない。
スプレッドで複数のレシーバーをセットさせ、3ステップのタイミングでパスを投げる。QBデレク・カーがフレズノ大学でやっていた得意な攻撃。
クローズド・フォーメーション(closed formations)では、すべてのレシーバーを片方のサイドにセットさせ、タイトエンドをレシーバーとは反対側のスクリメージラインにセットさせる。このフォーメーションはゾーン・リードをセットアップさせ、相手守備をアンバランスにさせる。
I-フォーメーションやスクリメージにTE2人をセットさせるようなベースの隊形において、デレク・カーはポケットの中と外でプレイする。
ダウンフィールドへの縦のパスを、どのフォーメーションからでも使う。
ヘビーセットでは、控えG/Tのカリフ・バーンズが6人目のラインマンとして入る。
レイダース(当時)はRBとTEの人材が豊富で、使い方の柔軟性もあったため、これらほぼ全部のフォーメーションを、どんなパーソネルのパッケージからでも実行することができた。
対戦相手の守備は、基本隊形だけでなく、ニッケルやダイムのサブパッケージでも、それに対応しなくてはならなかった。
(つまりレイダースの攻撃は、フィールドに出ているRBやTEが誰であるかや、その人数、組み合わせに関係なく、どんなフォーメーションでも展開することができたということですね)
FBマーセル・リース「それがこのオフェンスの素晴らしいところだ。このオフェンスを学んで、それを物にすれば、誰もが全部のポジションに入ることができる」
前にも書いた気がしますが、ビル・マスグレイブは現役時代はQBで、1995年にマイク・シャナハンがブロンコスのHCに就任した際に、新しいオフェンスを導入すべく、古巣の49ersから連れてきた選手でした。
当時は、35歳のジョン・エルウェイに「シャナハンのオフェンス(ウエスト・コースト・オフェンス)がやれるのか?」とも言われていて、マスグレイブの方が活躍できるのではないかという話もあったと記憶しています。
結果として、エルウェイは1年で新しいオフェンスをマスターし、その後スーパーボウルを連覇して引退。マスグレイブは控えで選手生活を終えて、コーチ職に進むこととなりました。
なので、マスグレイブのルーツは、マイク・シャナハン、ゲイリー・クービアックに繋がっていて、そこにチップ・ケリーから学んだ現代的なスプレッド・オフェンスのコンセプトが加わるのかなと思います。
先発に指名されたQBパクストン・リンチ(2016年1巡)は、メンフィス大学でスプレッド・オフェンスをやっていて、プロでは時間が必要な素材型という評価でした。
新OCマスグレイブは会見で「よりクリーン(シンプル)なアプローチをしたい。ボールを守り、QBを守り、攻撃に爆発力をもたらす。教師のように、生徒の長所を見つけてそれを伸ばす。まず選手のことを考え、次にプレイを考え、選手の長所を活かしたプレイをする」と語っていました。
前OCマイク・マッコイが解雇された理由として「オフェンスが複雑すぎた」という話も出ているので、リンチにとっては、マスグレイブのOC就任は歓迎すべきことかもしれませんね。
リンチがどれだけやれるのか。それによってブロンコスの将来(来年のドラフトも)が決まることになりそうです!
(とりあえず、試合を見る楽しみはできたかもー)