ブロ研 [ブロンコス研究所]

NFL DENVER BRONCOS について独自研究を行うブログ

OCリッチ・スキャンガレーロの話

ブロンコスの攻撃コーディネーターに就任したリッチ・スキャンガレーロ(Rich Scangarello)について調べていたところ、面白い記事が紹介されていたのでサクっと翻訳してみました。

 

2017年10月にサクラメントの地元紙が掲載していた記事。

当時、スキャンガレーロは49ersのQBコーチ1年目でした。

 

49ers: QBs coach took lowly job so he could learn from Kyle Shanahan | The Sacramento Bee

 

 

 

次のレベルに上がるため、一歩下がらなければならない時がある。

 

リッチ・スキャンガレーロ(49ersのQBコーチ)はその事をよく理解していた。2014年、彼はノーザン・アリゾナ大学で攻撃コーディネーターをやっていた。そこでは6ケタのサラリーをもらい、自由に仕事ができて、この国でもっとも美しい地域(グランド・キャニオンから85マイル)に暮らしていた。

 

その翌年、スキャンガレーロはそんな生活を捨てて、アトランタ・ファルコンズで底辺レベルの仕事を得た。収入は70%も減った。彼の部屋は他のコーチのスペアのベッドルームだった。その仕事は通常、大学を出たばかりの20代の人間がやるものだったが、彼はすでに40代になっていた。

 

「その仕事にタイトル(役職名)があったかすら知らないよ」カイル・シャナハンは語る。彼は当時、ファルコンズで攻撃コーディネーターをやっていた。

 

この時、シャナハンはスキャンガレーロを知らなかったが、スキャンガレーロはシャナハンのことを知っていた。

 

 

スキャンガレーロは、カルフォルニア州のローズビルで育ち、 サクラメント州立大学を卒業すると、カルフォルニア大学デービス校(UC Davis)のアシスタントからコーチングのキャリアをスタートさせた。そこではQB Kevin Daft や QB J.T. O' Sullivanと仕事をしている。

 

2009年、スキャンガレーロはレイダースでアシスタントQBコーチの仕事を得た。その1年前からテキサンズでは、カイル・シャナハンが攻撃を指揮していた。シャナハンは当時28歳で最年少のコーディネーターだったが、そのパス攻撃はリーグでトップを記録していた。 

 

スキャンガレーロは、シャナハンの攻撃システムに感銘を受けた。その攻撃は印象的で、巧妙で、スキャンガレーロが持っているアイデアとの親和性も高かった。

 

「私はシャナハンの攻撃をモデルにしてマネし始めた」彼は語った。「正直に言うと、私はシャナハンの試合フィルムを使って指導していたんだけど、彼はそのことを何年も知らなかったんだ」

 

しかし、当時44歳のスキャンガレーロは、シャナハンの攻撃を本当に理解したければ、彼の下で働くしかないことに気がついた。そこで、ファルコンズに(最低賃金長時間労働インターンに近い)最底辺の仕事があるのを知ると、スキャンガレーロはその募集に飛びついた。

 

「この仕事のおかげで、私はシャナハンの攻撃システムを完全に理解することができた。正直言って、たとえ無報酬だったとしても、この仕事をやったと思う。シャナハンのまわりにいられるなら、どんな仕事でもやるつもりだったんだ」

 

ファルコンズでの2015年シーズン、スキャンガレーロはラン攻撃、プレイアクションのフェイク、QBキープなど、シャナハンの代名詞といわれるプレイの詳細を学んだ。スキャンガレーロによると、彼が大学でやっていたウエスト・コースト攻撃と、シャナハンの攻撃システムの最大の違いはパス攻撃にあった。

 

「私がシャナハンから学んだ中でもっとも有難かったのは、彼は1プレイ、1プレイ、すべてのプレイでスコアを狙っているという点だ。私はプレイコーラーとしてそんな風に考えたことがなかった。私は時にスケジュールどおりにコールすることを重視していたが、彼は常に「どうやったら守備をアタックして、ビックプレイを決められるか」を考えている。彼は、私の考え方を良い意味で変えてくれた」

 

この考え方は、スキャンガレーロが指導するQBたちにも求められる。QBたちはパスラッシュが迫ろうとも臆することなく、ダウンフィールドにパスを投げるだけのガッツがなくてはならない。

 

「私たちのQBルームにおいて、その資質は絶対に不可欠なものだ。このチームにいるQBたちは全員その資質を備えていると我々は信じている」

 

 

一方で、2015年のオフシーズン、カイル・シャナハンもまたすぐにスキャンガレーロの存在に気がついた。

 

「最初は攻撃ラインの人かと思ったんだ。彼のことを知らなかったからね」シャナハンは語る。「そしたら彼は私に質問をしてきた。それは私が6年前にコールしたプレイの内容とかだったから、私は「この人は誰なんだ?」って気になった。彼は明らかに自分が話している内容を理解している。彼はなにもかも自力で学んでいた。それは優れたコーチが持つ資質だ。優れたコーチは他人が言ったことをただ記憶するだけじゃない。そのプレイがどうして機能するのか、どうやってコーチすればいいのか、選手たちがどうやるのかを知ろうとする」

 

シャナハンは2016シーズンもスキャンガレーロをチームに残そうとしたが、チームにアシスタント職の空きはなかった。スキャンガレーロも他人のベッドルームをもう1年借りることはしたくなかった。彼はWagner Collegeでプレイコールの仕事を得た。

 

ファルコンズにもう1年残るのは難しかった。経済面でも厳しかった」 

 

「もちろん…」スキャンガレーロは笑顔で語る。「ファルコンズスーパーボウルに進出することが分かっていたら、きっとチームに残っていたけどねw」 

 

 

 

 

シャナハンの攻撃システムを学ぶために大学コーチの職を捨てて、ファルコンズインターンになり、後にシャナハンが49ersのヘッドコーチに就任した際に、そのQBコーチとして招聘されたという、ある意味「シャナハン・マニア」な人物ですね。

プロレベルでのプレイコール経験はないですし、いろいろ未知数ですけども、現代的なシャナハン攻撃が導入されるのは楽しみかなと思います。

 

リッチ・スキャンガレーロ