NFL公式の試合プレビュー動画を紹介。
このプレビューは数字による分析がメインとなっています。
NFC代表のサンフランシスコ・49ersは(スティーラーズ、ペイトリオッツに並ぶ)通算6個目の優勝リングを狙う。
AFC代表のカンザスシティ・チーフスは、HCアンディ・リードにとって初のスーパーボウル勝利を目指す。
49ers攻撃 対 チーフス守備
49ersのラン攻撃
49ersはとても多様なオフェンスを展開しているが、その核となるのはラン攻撃だ。プレイオフでも2試合連続で180ヤード以上を走っている。
先週のパッカーズ戦では、RBラヒーム・モースタートが29回で220ヤード(平均7.6ヤード)、4TDと爆発した。
49ersのラン攻撃は3匹のモンスター(RB3人体制)でよく知られているが、その中でもモースタートは今シーズン1回平均で5.6ヤードも稼いでおり、もっとも爆発力のあるRBだ。なので、パッカーズ戦の大活躍はけしてまぐれではない。
今シーズンの49ersは、ランの回数が498回で2番目に多く、1試合平均144.1ヤードもリーグ2位となっている。
モースタートはパワーよりもスピードに優れており、パッカーズ戦ではラン29回のうち9回で時速15マイル(約24キロ)以上の速度に達していた。レギュラーシーズンでも28.7%のランで同じ速度を記録していたが、これは全RBで3番目に高い数字だ。
チーフスのラン守備
対するチーフスのラン守備は、1試合平均で128.2ヤード(26位)、1回平均で4.9ヤード(28位)を喪失しており、リーグの底辺に位置している。レギュラーシーズンの数字からすると苦戦は避けられないように見える。
しかし、プレイオフの2試合では、平均89.5ヤードしか喪失していない。
AFC決勝ではリーグでもっともホットなRBデレク・ヘンリーを19回、69ヤード、1TD、平均3.6ヤードに封じており、タイタンズのゲームプランを崩すことに成功している。
そして、チーフスは49ersに対しても同じことを狙っているだろう。
49ersのパス攻撃 QB
もしチーフスのラン守備が成功すれば、49ersはQBジミー・ガロポロのパス回数が増えることになる。ガロポロはプレイオフ2試合でわずか27回しか投げていない。
49ersはここまでラン攻撃が主役になっていたため、ガロポロは脇役に甘んじていたが、出番が来れば仕事はできる。
ガロポロはレギュラーシーズンの7試合で250ヤード以上を投げていて、そのすべてでチームは勝利している。
今シーズンは27TD、13INT,1試合平均248.6ヤードを記録しており、スーパーボウルの舞台でも活躍が期待できる。
49ersのパス攻撃はクイックなパスを投げ、キャッチ後のランでヤードを稼いでいる。ガロポロのパスヤードは、キャッチ後のラン率がリーグ1位となっている。
そのターゲットになるのはWRディーボ・サミュエルといったレシーバーたちだ。
Next Gen Statsによると、今シーズンのガロポロはスナップを受けてからパスを投げるまでのタイムが7番目に速かった。
ガロポロはボールをプレイメイカーであるレシーバーたちに渡し、彼らに多くの仕事をしてもらっている。
チーフスのパス守備 RAC
チーフスのパス守備は優秀であるが、キャッチ後のランでやられた平均ヤードは29位で下から4番目になっている。
さらにRBにレシーブでやられたヤードが32位、TEにやられたヤードも28位とリーグの底辺にランクしている。
49ersのパス攻撃 TE
これらの数字は、TEジョージ・キトルにとって朗報だ。
キトルはプレイオフ2試合で4回、35ヤードの成績しか残していないが、これは49ersがパスを投げる必要がなかったためであり、彼は眠れる巨人と言えるだろう。
キトルはランブロックが優秀だが、それだけでオールプロに選ばれたわけではない。今シーズンはレシーブでも85回で1,053ヤード、5TDを記録している。
49ersのパス攻撃 WR
今シーズンの49ersは、TEキトルだけのチームではない。
新人WRディーボ・サミュエルは有望な活躍を見せており、今シーズンは57回で802ヤード、3TDを記録している。
そして、チームにはベテランのWRエマニュエル・サンダースもいる。彼はこれまでよりもブロックのスキルを磨く必要があったが、今でも必要な時にはパスの脅威になれる。
チーフスのパス守備 DB
対するチーフスのセカンダリーは、レシーバーにとって手強い相手になるだろう。チーフスはWRにやられたヤードがもっとも少なくリーグ1位を誇っている。
今シーズンのパス守備は、相手QBのレイティングの低さが5位、1試合平均の喪失ヤードが8位、被TDの少なさが10位タイと優秀だ。
さらに今シーズンは16個のインターセプトを決めており、これはリーグで5位タイの多さになっている。
CBチャヴァリアス・ウォード(Charvarius Ward)は今シーズン2個のINTを決めるなどブレイクしたが、PFFによると彼がターゲットになった時の相手QBのレイティングは67.3だった。
チーフスには他にもタレントが揃っており、相手QBのレイティングは、SSタイラン・マシューが67.5、FSダニエル・ソレンセンが65.3、CBバシャード・ブリーランドが77.4となっている。
QBレイティングは90が分岐点なので、それ以下であれば守備選手が優秀だと言える。
この点からすると、CBケンドール・フラーはセカンダリーの弱点になるだろう。彼は相手QBにレイティング131.4もやられている。
チーフスのパスラッシュ
セカンダリーの優秀さは、パスラッシュと関連する傾向がある。そして、ここもチーフス守備の強みだ。
爆発中のDEフランク・クラークは過去4試合で6サックを記録している。
彼とDTクリス・ジョーンズが率いるパスラッシュは、今シーズンのサック数がリーグ11位と優秀だったが、相手QBに与えたプレッシャーはそれほど多くなく26位に終わっている。
49ersのパスプロ
プレッシャーはQBガロポロ対策の鍵になるかもしれない。
ガロポロは今シーズンのレイティングが102.0だったが、プレッシャーを受けた時の数字は68.7まで落ちる。
PFFによると、49ersの攻撃ラインは14位と真ん中あたりにランクされている。
攻撃ラインはLTジョー・ステイリーが支柱となっており、先発でもっとも評価が高く、今シーズンは2回しかサックをやられていない。
ライン全体としては被サック数の少なさがリーグで12位だったが、RTマイク・マグリンチーは(チームで最多の)5サックをやられている。
チーフスのファンはここのマッチアップに注目すべきだろう。
Super Bowl Bound ‼️
— San Francisco 49ers (@49ers) 2020年1月20日
チーフス攻撃 対 49ers守備
チーフスのパス攻撃
チーフスのオフェンスは最高にホットな状態にある。
QBパトリック・マホームズはプレイオフの2試合で8TD、0INT、平均307.5ヤードを投げている。彼は守備が計算できないようなプレイを決めており、そのメインターゲットはもちろんWRタイリーク・ヒルだ。
ヒルは最速のレシーバーであるだけでなく、マホームズとの息もぴったりで、止めることが不可能のように感じられる時がある。
そして、チーフスにはTEトラビス・ケルシーもいる。
ケルシーは今シーズン97回で1,229ヤード、5TDを記録しており、彼と49ersのTEジョージ・キトルとの共演は、スーパーボウル史上で最高のTE対決になるかもしれない。
しかし、チーフスの攻撃においてもっとも危険なのは、もうひとりのWRサミー・ワトキンスの存在だ。
なぜなら、たとえ守備がヒルとケルシーをカバーできたとしても、さらにワトキンスの心配までしなければならないからだ。彼は今シーズン52回で673ヤード、3TDを記録している。
さらにチーフスにはWRデマーカス・ロビンソン、WRメコール・ハードマンも控えている。彼らはいつも1試合に2つか3つのビックキャッチを決めている。
チーフスのパス攻撃 RB
そしてチーフスには、もっとも重要なXファクターであるRBダミエン・ウィリアムズもいる。
見落とされがちだが、彼もパス攻撃における大事なピースのひとつであり、NFC決勝では5回のレシーブで44ヤードを稼いでいる。
もちろんウィリアムズはランでもボールを持つが、彼のクイック・スクリーンからヤードを稼ぐ能力は通常(ランよりも)効果的であり、ラン攻撃の延長みたいな役割にもなっている。
49ersのパス守備
49ersのパス守備は(少なくとも机上においては)チーフスの強力なパス攻撃に対抗できる数少ないユニットのひとつかもしれない。
今シーズンのパス守備は1試合平均で169.2ヤードしか喪失しておらず、これはリーグで1位の成績だ。
さらに、今シーズンはTEにやられたヤードがリーグでもっとも少なく、RBにレシーブでやられたヤードは2番目に少なかった。
そして、WRにやられたヤードも4番目に少ない。
49ersのパス守備 DB
NFC決勝では、CBエマニュエル・モーズリーがパッカーズのQBアーロン・ロジャースからINTを決める活躍を見せた。
彼はシーズン終盤から先発に昇格した若い選手だが、その活躍によってすでに一流だったセカンダリーはさらに強さを増している。
今シーズンのパス守備は、相手QBをレイティング83.0(7位)に抑えており、1試合の平均喪失ヤード(1位)、パス1回の平均喪失ヤード(1位)、キャッチ1回の平均喪失ヤード(1位)どれもリーグ1位を誇っている。
そして(おそらくチーフスと対戦する際にもっとも大事な数字である)20ヤード以上のパスをやられた回数もリーグ1位タイの少なさだった。
ベテランのCBリチャード・シャーマンは素晴らしいシーズンを過ごし、自分に対して投げられたパスで相手QBをレイティング46.8に抑えている。
相手QBのレイティングは、CBケイウォン・ウィリアムズが77.8、SSジャキスキ・タート(Jaquiski Tartt)が75.1でどちらも80以下だったが、FSジミー・ウォードは116.5もやられていてあまり良くなかった。
チーフスの攻撃プランは、ここを狙って多くのパスを投げることが予想される。
49ersのパスラッシュ
49ersの守備選手は誰も、チーフスほどの強力なレシーバー陣とは対戦していない。なので、セカンダリーにはパスラッシュの助けが必要だ。
NFC決勝で49ersは3サックを決めており、シーズンではリーグ5位タイとなるサック数を記録している。
今シーズンの49ersはあまりブリッツをしなかったので、主に守備ラインのラッシュでこの成績を残しており、その点でより素晴らしかったと言える。
DEニック・ボサは9サック、DEディー・フォードが6.5サック、DEアリク・アームステッドが10.0サック、DTディフォーレスト・バックナーが7.5サックを記録している。
彼らがチーフスのQBマホームズを捕らえられるかどうか、これがこの試合でもっとも重要な要素になりそうだ。
チーフスのパスプロ
PFFの評価によると、チーフスの攻撃ラインは17位にランクされている。
その中でもRTミッチェル・シュワァルツの評価が84.0でもっとも高かった。
一方でLTエリック・フィッシャーの評価は64.3と低くなっている。なので、彼と49ersのDEニック・ボサ、DEディー・フォードのマッチアップは鍵になるだろう。
全体として、今シーズンの被サック数はリーグで3位タイの少なさだったが、QBマホームズには足で逃げる一流のスクランブル能力があるので、この数字はそれに助けられている。
チーフスのラン攻撃 QB
QBマホームズはその機動力によってプレッシャーから逃れるだけでなく、ランで楽々とヤードを稼ぐこともできる。
AFC決勝では8回で53ヤードを走り、TDも決めている。
プレイオフでは2試合連続で53ヤードを走っているが、レギュラーシーズンでも4試合で50ヤード以上を走っている。
49ersのラン守備 対QB
一方で、49ersの守備はQBのランにやられている。
今シーズンは相手QBに走られたヤードがリーグで3番目に多く、1回平均で5ヤード以上を喪失している。
チーフスの3rdダウン攻撃
QBマホームズのランは特に3rdダウンで頭痛の種になるだろう。
守備はチーフスの強力なレシーバーたちをカバーしなければならず、マホームズが包囲を突破して走るのをただ見守ることしかできない。
なので、チーフス攻撃の3rdダウン更新率がリーグでトップ(47.6%)なのは納得であり、まったく驚くことではない。
49ersの3rdダウン守備
対する49ersも 3rdダウンの守備は優秀だ。
今シーズンはリーグ3位の3rdダウン阻止率を誇っており、相手をレッドゾーン(自陣20ヤード以内)に侵入させた回数も2番目に少ない。
しかしながら、レッドゾーンに侵入された後の守備はそこまで優秀ではなく、自陣20ヤード以内でのTD阻止率はリーグ23位だった。
面白いことにチーフスのレッドゾーン攻撃も20位と低くなっており、強い2チームにしては、お互いの弱点がぶつかる奇妙な形になっている。
SEE YOU IN MIAMI 🌴 pic.twitter.com/MQYiV0iMDC
— Kansas City Chiefs (@Chiefs) 2020年1月20日
その他の数字
49ers守備のテイクアウェイ
49ersの守備は、ボールを奪うテイクアウェイが27回(6位)で優秀。
チーフスの攻撃は、ボールを失うターンオーバーが15回(3位タイ)で優秀。
チーフス守備のテイクアウェイ
チーフスの守備は、テイクアウェイが23回(10位タイ)で優秀。
49ersの攻撃は、ターンオーバーが23回(22位タイ)であまり良くない。
49ersのキッカー
49ersのKロビー・ゴールドは今シーズンやや不調で、フィールドゴールの成功率は74.2%だった。しかし、現在13回連続でキックを決めている(継続中)
チーフスのキッカー
チーフスのKハリソン・バットカーは今シーズン89.5%のフィールドゴールを決めており、こちらも現在11回連続でキックを成功させている(継続中)
第54回スーパーボウルでは、NFC代表の49ersがビジター扱いになるため、上は白のジャージ、下はゴールドのパンツを着用する。
AFC代表のチーフスはホームの赤色を着る。
勝敗予想
- Gregg Rosenthal K.C 37-34
- Bucky Brooks K.C 35-31
- Cynthia Frelund K.C 29-27
- MJD K.C 24-21
- Colleen Wolfe K.C 38-24
- Adam Rank K.C 41-35
- Dan Hanzus K.C 38-34
- Nick Shook S.F 27-24
- Rhett Lewis S.F 31-27
- Marc Sessler S.F 41-40
- Daniel Jeremiah S.F 38-34
- Dave Dameshek S.F 30-27
第54回スーパーボウル
日本時間 2月3日(月) AM 08:30~