ブロ研 [ブロンコス研究所]

NFL DENVER BRONCOS について独自研究を行うブログ

デマリアス・トーマスの話

NFL公式に面白い記事があったので紹介してみます。

 

ブロンコスの先発WRデマリアス・トーマスが引退を考えていたこと。このオフに大きな変化があったことなどが書かれています。 

 

Demaryius Thomas reinvigorated by radical lifestyle change - NFL.com

 

 

2年連続でプレイオフを逃した2017年シーズンの後、デマリアス・トーマスは家で静かに読書をしていた。その日トーマスが読んでいた雑誌は、後に彼の生活、身体、そしてキャリアをも変えることになるものだった。

 

2017年、トーマスはレシーブで1,000ヤードを記録することができなかった。それは2011年以来初めてのことで、彼は引退について真剣に考えるようになっていた。

トーマスには信条があった。試合に出られる状態であれば怪我について語らない。ファンやアナリストが近年の不調ぶりを批判している時も、彼は何も言わずに過去6シーズン全試合に出場し続けた。

トーマスの股関節は、関節唇(連結部)が部分的に断裂していて、彼はその負傷に何年も悩まされていた。2016年からは特にひどくなり、ここ数年は痛みが激しくなっていた。

 

「この2年間は本当にひどかった。首と股関節だよ」トーマスは先週、練習フィールドで語った。「ベストを出すことができなかった。ペイトリオッツと対戦した時、CBローガン・ライアンに言われた。おまえは別人のようだなって。僕はなんとかして相手の注意を引きつけるしかなかった」

股関節の痛みはとてもひどく、まともにプレイすることができなかった。

「痛みのせいで(走っている状態から)止まることすらできない時もあった」

それでも大丈夫なふりをして試合に出た。自分が守備の注意を引き付ければ、WRエマニュエル・サンダースや他の選手が活躍する助けになるだろうと考えたからだ。

「昨年のトーマスはずっと怪我をかかえたまま出場していた」とHCヴァンス・ジョセフも語る。「彼は満身創痍の状態だった」

 

トーマスは今年のクリスマスで31歳になる。今でも時々、引退したQBペイトン・マニングと一緒に練習しているが、ルートの話よりも子供の話をすることが多くなった。

今年でプロ9年目になる。だけど昨年、トーマスはキャリアの終わりを感じていた。この2年間の痛みはそれくらいひどかった。今年か(契約最終年である)2019年で引退することになるだろう、そう本気で信じていた。

 

しかし、トーマスはこのオフ、新しい習慣によって、身体の調子が飛躍的に向上しているのを感じていた。

 

「今は15年目か16年目までやれたらと思っているよ」トーマスは笑った。「まじめな話、ラリー・フィッツジェラルドと同じか、もっと長くやれると思う。もちろん、ある日とつぜん大怪我をして引退する可能性もあるけど、少なくとも僕の考え方はこれまでと大きく変わったんだ」

 

その変化は、あの日に読んでいたヘルス&フィットネスの雑誌が原因だった。どの記事だったかは覚えていないが、食事と炎症の関係について書かれていた文章を読んで、トーマスは血液検査をしてみる気になった。

オフに施設でトレーニングをしながら、彼は医者に血液検査とその分析をしてもらった。1週間後、検査の結果が届いた。

 

ビタミンDが不足している。

水銀の量が多すぎる。

この種類のパンは食べるな。

乳製品は禁止。

貝類は禁止。

豚肉は禁止。

アルコールは禁止。

 

どんな食べ物がトーマスの身体、股関節の炎症に影響しているのか、血液検査の結果には細かく書かれていた。同時になにが不足しているのか、どんなサプリメントを摂取するべきかも書かれていた。

飲む物を変えるのはタフだった。しかし、乳製品の禁止はもっとタフだった。

 

それからの2週間、施設でトレーニングをしながら、トーマスは新しい食事制限とサプリメントを続けた。その14日間で、彼の体重は228ポンド(約103キロ)から212ポンド(約96キロ)まで減った。

体重が試合でプレイするベスト以下になることは受け入れ難かった。しかし、身体の状態はとても良かった。そこから体重を戻すのは簡単ではなかったが、トレーナーと新しいワークアウトを考えて解決することができた。

 

新しい食事制限と(ほとんどウエイトを使わない)独創的なワークアウトの成果は、トレーニング・キャンプでも見ることができた。トーマスの身体は引き締まり、強くなり、やる気に溢れていた。

彼は自宅でも個人シェフを雇い、食事制限をやり続けた。そして、多くのチーム関係者が語るように、キャリアでベストに近いキャンプを過ごしている。

 

トーマスには他にもやる気を出させる理由があった。ブロンコスは今年のドラフトでWRコートランド・サットン(2巡)とWRデイショーン・ハミルトン(5巡)を指名した。チームは若い彼らがすぐに活躍できると感じている。

トーマスも同じように思っており、若い選手たちを称賛している。しかし時に、彼はチームと自分の信頼関係がどうなっているのかを疑問に思う。

 

「つらい時もあるよ」トーマスはファンの批判的な意見に関して語る。「若い選手たちは好きだ。でも、彼らはまだプロで1プレイもしていない。それなのに、ファンはすでに若い彼らが僕よりも上だと評価してる。まあいいさ。誰もが自分の意見を持っている。無視しよう。今はそういう風に思えるけど、昔はそうじゃなかった。それは試合にも影響した。だけど今はもう気にならない。毎週、毎日、ベストを目指して努力する。それでも受け入れてもらえないなら、将来のことは分からない」

 

CBクリス・ハリスは、トーマスがブロンコス史上で最高のレシーバーになれると言う。チームの殿堂入りも夢ではない。

トーマスは生涯ブロンコスの一員でいたいと思っている。しかし、大型契約を結んでいる30歳を超えたレシーバーの現実は厳しい。今年がブロンコスでの最後の年になるかもしれない。彼自身もそれを理解している。もしそうなったら自分はどうなるのだろう、そう考えることもある。

 

「時には小さなことも考える。ここには僕のことを好きじゃないファンもいる。なぜだか分からない。もしかしたら僕が声を出さないからかもしれない。あるいは落球が多かったせいかもしれない。だけど、僕はチームのため、仲間のため、自分のためにプレイし続ける。それ以外の人については今は気にしない。もちろんファンのためにもプレイするけど、彼らはフィールドに出てプレイするわけではない。僕はこの街が好きだ。ここに来た最初の日からずっと好きだ。QBティム・ティーボウと一緒に1巡で指名されて、この街に来たあの日から」

 

今年ブロンコスはベテランのQBケイス・キーナムと契約した。トーマスにとってはペイトン・マニング以来となる実績のあるQBを手に入れたことになる。

オフェンスにキーナムと若い選手たちが加わり、トーマスは痛みのないシーズンを過ごして活躍できると見越している。うまくすれば、今シーズンはプレイオフに進出し、本を読む時間は少なくなるかもしれない。