ブロ研 [ブロンコス研究所]

NFL DENVER BRONCOS について独自研究を行うブログ

フィリップ・リンジーのインタビュー

ブロンコスで大活躍しているドラフト外新人RBフィリップ・リンジー

彼のインタビューが面白かったので紹介してみたいと思います。

 

スティーラーズ戦の後、ピーター・キング氏のポッドキャストに出演して質問に答えています。

 

The Peter King Podcast - Denver running back Phillip Lindsay, one of the season's breakout stars, and Minnesota's Harrison Smith, the best safety in football. | Listen via Stitcher Radio On Demand

 

 

 

君は第12週を終えて718ヤードを走り、リーグ7位の成績だけど、もしシーズン開幕前の時点で「12月には多くの有名なRBたちよりもヤードを稼いでいるよ」と言われてたら信じてた?

 

まず最初に僕を番組に呼んでくれてありがとう。そうだね、僕は自分に絶対的な自信を持っているから、たぶん信じていたと思う。うん、きっと信じてたよ(笑)

 

 

君の父親もデンバー界隈で有名なRBだったそうだね。70年代に通算4,400ヤードを走って、デンバーの公立高校記録を樹立している。そして、君がその記録を更新したという話だけど、父親の記録を追いかけるのはどんな気持ちだった? 父親は「俺の記録を更新しないでくれ」って言わなかった?

 

僕はリトルリーグにいた頃から「高校に進学したら記録を更新するよ」って父親に言ってたんだ。父親も「ぜひそうしてくれ」って応援してくれた。なんせ、その記録は20年くらいずっと残っていたから、どうせなら自分の息子に更新して欲しいって気持ちだったと思う。

じつは記録を更新したその試合で、僕は膝のACLを断裂してしまった。だから新記録は嬉しくもあり、苦い思い出にもなった。記録を更新してみんなに祝福された後、第2Qにカットしたら膝から3回ポップする音がした。すぐにサイドラインに下がって休んだけど、膝は問題ないという診断だった。だから次の試合にも出場して100ヤード以上走ったけど、やっぱり変だった。そしたらACLを断裂してた。

 

 

ちょうどその頃、コロラド大学から奨学金をオファーされていたそうだけど、怪我してもそれは取り消されなかった?

 

当時、コロラド大学のHCはジョン・エンブリーだった。僕に奨学金をオファーしてくれたのは攻撃コーチのエリック・ビエネミーで、彼だけは僕を信じてくれた。彼らは僕の家を訪ねて来て「怪我していても1年目はグレイシャツに登録する」と言ってくれた。彼らが車で去った直後、おじさんから電話があって「ニュースを聞いたか? コロラド大学のエンブリーが解雇されたぞ」と教えられた。コーチは僕と会っている間に解雇されてしまったんだ。

これで奨学金の話も宙に浮いてしまった。僕は膝の手術を受けて成功したけど、正式なリハビリをするお金もなかった。他の大学からは奨学金のオファーはなかった。声をかけてくれていたユタ大学も(今はチームメイトの)RBデボンテ・ブッカーを獲得していた。

コロラド大学の新HCマイク・マッキンタイヤーは「奨学金をオファーするが、その前に会いたい」と連絡をくれた。当時の僕は体重155ポンドの子供で、膝はぶっこわれていた。たぶんコーチは「なんで前のコーチはこの選手に奨学金をオファーしたんだ?」という気持ちだったと思う。それでも彼は奨学金の約束を守ってくれた。

 

 

それから膝のリハビリはどうなった?

 

手術を受けた後、正しいリハビリができなかったせいで、僕の膝は真っすぐに伸ばせなくなっていた。コロラド大学に進学する前、大学のスプリングゲームに招かれて診察を受けた。コーチたちは「この子はもう二度とプレイできないだろう」という感じだった。だけど、そこにテッド・レーンという人物がいた。彼は「私を信じて、私の言うとおりにやるなら、またプレイできるようにしてやる」と言ってくれた。大学1年目はレッドシャツに登録されると分かっていたので、僕は彼と1年間リハビリをして、また膝を伸ばせるようになった。そして僕の膝は強くなった。

 

 

コロラド大学ではどうやって名前を上げた?

 

僕と一緒に入学したRBは、1年目から試合に出ていた。チームにはたくさんのRBがいた。1年目のフレッシュマン、僕は練習生に登録された。膝のリハビリをしながら、できることはなんでもやった。僕は最優秀練習生に選ばれた。すべてはそこから始まったんだ。 

 

 

大学では活躍したけど、NFLのコンバインには招待されなかった。

 

僕はコンバインに招待されると思っていた。大学での実績を考えたら、その資格はあると思っていた。だから連絡がなくて侮辱されたように感じた。ショックと怒りを感じたし、理由が分からず混乱した。アラバマ大学のような強豪校ではないから、コロラド大学だから不当に無視されたのかと思った。

 

 

コンバインの映像は見ていた?

 

見ていた。他の選手がどれくらいやるのか知りたかった。大学で僕よりも活躍してない選手たちが招待されている。それはプロデイへのモチベーションになった。

 

 

ドラフトの週はどう過ごした? どんな経験だった?

 

ドラフトの週には多くのことを耳にしたけど、そのほとんどはデタラメだった。何も知らない若い選手には地獄のような3日間だ。僕だけでなく、家族にとっても地獄だった。3日間、家族と一緒に座って電話が来るのを待つ。電話が鳴るけど、指名の電話ではない。みんなが神経質になり、怒りといらいらが募り、泣きそうな気持ちになる。他の選手が指名されるのを見ながら、なぜ自分が選ばれないのかと自問自答する。僕は指名されなかった。正直に言うけど、僕は泣いた。 家族も一緒に泣いていた。

 

 

ドラフトが終わると、一斉にドラフト外新人選手の獲得合戦が始まる。どんな感じだった?

 

混乱した。多くのチームが連絡してきた。どのチームも僕には7巡指名の価値すらないと判断したのに、僕と契約したいと連絡してくる。僕は怒っていた。エージェントは「15分以内にチームを決めろ」と言った。15分で決まらなければ、チームは他の選手と契約する。これで僕の人生が決まる。当時はレイブンズが契約候補だったけど、これまで一度もボルチモアに行ったことはなかった。契約してもチームに残れる保証はない。知らない土地で職を失い、路頭に迷うのはいやだった。

 

 

なぜブロンコスを選んだ?

 

僕は怒っていたけど、その多くはブロンコスに対する怒りだった。ドラフトで2人のRBを指名して、僕を指名しなかった。それなのにドラフト外で契約したいと言う。僕は自分を必要としないチームには行きたくなかった。

僕はどこに行きたいのか分からないまま座っていた。タイムリミットは15分しかない。家族は大騒ぎで、エージェントも必死に助言をくれていた。いろんな感情が駆け巡っていた。そんな混乱の中、僕の母親が「家に残りなさい。ブロンコスと契約しなさい」と言った。母親はとても静かな女性で、彼女の言うことはいつも正しかった。エージェントもブロンコスとの契約を勧めた。時間はもう5分しか残っていなかった。それで僕は「分かった、ブロンコスと契約しよう」とエージェントに伝えた。

 

 

ブロンコスと契約して、どうやって生き残った?

 

僕は自分がチームの最下層にいることを理解していた。だからチームの誰よりも自分を証明する必要があった。僕は口を閉じ、頭を下げ、仕事をした。エージェントからも「どれだけチャンスをもらえるか分からない」と言われていた。練習ではたったの5プレイしか出られないかもしれない。僕にはその5回すべてが重要だった。

 

 

開幕戦(15回 71ヤード)で、フィールドに立った気持ちはどうだった?

 

ゾクゾクした。母親は泣いていたと思う。僕の感情は麻痺していた。何が起こるのか分からなかった。スペシャルチームで数プレイだけの出番かもしれなかったし、チームにいられるだけで感謝だった。あまりにも多くのことが起きて、僕の感情は麻痺していた。

 

 

2戦目のレイダース戦では107ヤードを走ったね。

 

あの試合の記憶はぼんやりしている。僕は何も分かっていなくて、ただフィールドに出て走っただけだった。きっとミスがたくさんあったと思う。間違えて反対側に走ったりしていたかもしれない。そんな僕をQBケイス・キーナムが何度も助けてくれた。そして、攻撃ラインが走路を開けてくれた。僕が活躍できたのは彼らのおかげだ。試合の後、みんなにお礼を言ったよ。

 

 

今週は強豪スティーラーズと対戦して110ヤードを走った。

 

ワイルドでエキサイティングな試合だった。うちは新人が活躍していて若い選手が多い。だから、怖い物知らずだ。スティーラーズがどれだけ強いか、ライバル関係やリーグの歴史なんて関係ない。ただ試合に出てプレイするだけなんだ。

 

 

ところで、君はまだ実家で家族と暮らしているんだよね?

 

そうなんだよ(笑) まだ一緒に暮らしてる。家族には助けられてるし、僕も家族を助けてる。なんせ3か月前には将来がどうなるか分かっていなかった。ブロンコスでチャンスをもらえてなかったら、今ころ職を探していたと思う。

 

 

門限はあるの?(笑)

 

いやいや、僕はもう子供じゃないよ(笑) もうすぐ自分の家を見つけるつもりだけど、僕はドラフト外新人だから給料も安い。お金は賢く使わないとね。

 

 

お父さんは君を誇りに感じているだろうね。

 

みんな僕のことを喜んでくれている。みんな笑顔だ。彼らは僕に「このまま正しい道を進め。現状に満足せず、努力し続けろ」と言う。僕もそれを理解している。恩師のコーチは「おまえなんてまだまだクソなんだぞ」と諭してくれる。僕はその教えを常に覚えている。

 

 

このポッドキャストをはじめて3年くらいになるけど、 こんなに楽しかったインタビューは初めてだよ。

 

ありがとう。こちらこそ番組に呼んでもらえて光栄です。

 

 

 

 

リンジーは早口で感情のままに話しまくるので、すべてを文字に起こすことはできなかったですけど、なんとか翻訳してみました(汗

 

ちなみに、コロラド大学でリンジー奨学金をオファーしてくれたエリック・ビエネミーは、その後チーフスでRBコーチに就任し、今年からはチーフスの攻撃コーディネーターをやっていますね。

次代のヘッドコーチ候補とも言われているので、ブロンコス的にも要注目かもしれません。